♠ 花がふってくる

  花がふってくる　/　著：崎谷はるひ

あらすじ＞＞
大学助手の蓮実秋祐は、いとこの袴田涼嗣と同居している。同い年のくせに、際限なく甘やかしてくる涼嗣に、秋祐は密かに恋をしていた。近すぎる距離があたり前になっていた二人だったが、涼嗣が恋人・理名との結婚を決めたことから事態は大きく動き始める。秋祐は涼嗣への想いにピリオドを打ち、離れる決心をするが―。

個人的評価★＝4つ

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崎谷先生の作品はいくつか拝読していますが、中でもこの作品が私は一番好きです。
お話はとても地味で、ゆったりと進みますが、何故か何度も手にとって読み返しています。

読んでみて、攻めの涼嗣は小さいときから何でもすぐ出来て、手に入りすぎてきたからか、合理的過ぎ、人間としての感情が少し欠落していると思いました。ある種可哀相な人ですが、唯一幼馴染みの秋祐には普段の合理主義者ではなくなります。ただし無自覚。
一方、受けの秋祐は日常生活もままならいのじゃないか…という位不器用な人間で、いつか涼嗣は結婚するだろう…と思いつつ、一途に涼嗣を思い続ける健気な性格です。

昔故郷で話していたことを覚えていて、それを涼嗣の誕生日プレゼントにしようと準備していた秋祐ですが、涼嗣が誕生日に彼女を実家に連れて行くということを知り、長い片思いを終わらせる覚悟をする秋祐。その秋祐の告白により、自分の気持ちに自覚する涼嗣のシーンは、何度読んでも胃がキュッとなり切なくなります。

両思い後、涼嗣を引きずり込んだという負い目を感じる秋祐。しかし、そういう秋祐の負い目ごと優しく包み込む男らしい涼嗣に萌えましたｖ

また今市子先生の挿絵が繊細で美しく、物語の雰囲気とマッチしています。

落ち着いた雰囲気の作品が好きな方にはオススメです♪