♠ 恋をしている君たちへ

恋をしている君たちへ　/　著：麻生雪奈

あらすじ＞＞
中学生の時、北の国から転校してきた、カナの無口な親友・侑斗。高校生になったカナは侑斗に対し、「トモダチ」以上の感情を抱くのだが、今の二人の関係を壊したくなくて、自分の気持ちを隠していた。ところがある日、カナが中学生の時につきあっていた彼女・千鳥の存在を侑斗が知ったことから、次第にカナと侑斗のバランスが崩れ始めてしまう。さらに、侑斗と千鳥がデートをしたという噂が校内に流れ―。

個人的評価★＝3

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この本は、何か事件が起きたりする訳でもなく、主人公・カナの視点で恋愛に、進路に、将来に悩みながらも一生懸命向き合う姿を淡々と書かれた作品です。

もう初っ端のカナと侑人2人の教室のじゃれ合いが、付き合いたてのカップルのイチャイチャにしか見えません（笑） カナはそんな2人の関係を壊したくないので、自分の気持ちを誤魔化し、『トモダチ』と言い聞かせています。そんな時に侑人がカナの元カノとデートしたという噂を聞き、カナと侑人のバランスが壊れ、侑人の事で悩むカナですが、叔母の華の言葉でカナは侑人に向き合う勇気を持ちます。

この華の言葉がすっごく素敵です。
物語の中でも絵本作家の華は透明であどけないと表現されていますが、物事の真実というか核心というか、そういうのをシンプルに語る人でした。中でもすごく胸に響いたのが、『好きって、一番正直で一番いいことなの』、『たとえ相手が神様だって、好きになる心は自分だけのものでしょう。ねえ、カナちゃん。自由ってそういうことじゃないの？』　別に、今私自身が陽の目を浴びない恋愛をしてたり、過去そういう恋愛経験がある訳でもないんですけどね（^^;） だけど、男同士ってことで悩んでたカナにはすごく胸の内を軽くする言葉だっただろうなって思いました。

両思いになって直ぐに、もしかしたら北海道に帰ることになるかも…と侑人に明かされ、不安になり、駆け落ちをしようと侑人を誘うカナ。正直、読みながら「未成年の高校生が駆け落ちして、保証人もなく、生活していける訳ないのに。若いなぁ…」とか考えてしまい、お話に入りきれなかったりしたところもありましたが、そういう青い春らしいのがまた高校生らしいのかな。なんて思ったりしました(^^;)

高校生の時って、毎日の勉強や部活や友人、進路など色々悩んでた記憶がありますが、社会人よりも恋愛の割合がずっと大きいですよね。社会人になって分かりましたが…なので、カナ視点のこのお話を読んで、すごく高校生時代が懐かしくなりました(^^)